ハードパンのクープが開かない理由は色々あるので、コレ!と限定することは難しいですが、色々考えられる中のひとつに、オーブンにパン生地を詰め込みすぎることが考えられます。
例えばオーブンが二段焼成可能なオーブンで焼いている場合です。一段焼成とは熱の回り方が変わります。庫内に入る生地量も増えますので、パン生地に熱が伝わる速度も違ってきます。

たったコレだけのことなのに、クープが開かなくなります。いくらメーカーが二段焼成が可能ですと言ったところで、どのパンをどんなふうに焼き上げるのかまでは、約束してくれません。上手く焼けなければ、二段焼成しても意味がないのです。
二段焼成で上手く焼けないのはなぜ?
それは、家庭用オーブンのパワーが弱いからです。業務用オーブンなら天板1枚増えたくらい、なんてことありませんが、家庭用オーブンでは大きな違いになります。
特に家庭用オーブンはコンベクションオーブンなので、上下に天板を挿すことで庫内の熱対流が変わります。これが一番の原因です。良い方へ変われば良いのですが、パワーが弱いので悪い方へ変わることのほうが多いです。
特にハードパンは窯入れから最初の10分までの火の入り方が重要になります。そこが大きく変わってしまうことでクープが開かなくなることに繋がります。
メーカー推奨だったとしても、結果として上手く焼けていない場合、そのパンの焼き方は適正ではありません。
焼成では、オーブンの熱の使い方を意識しないといけません。設定温度に合わせて、生地を入れたら終わり!ではないのです。二段焼成で上手く焼けない方は、一段にしてみましょう。

こちらのクープが開かないプチフランス。食べられないわけではありません。しっかり火が通って、それなりに美味しいパンです。
でも本来はもっとクープがパカっと開いて、中の水分が程よくクープから抜けて、もっとボリュームのある焼き上がりになったはずです。それが本来の姿です。
それと比べると、クラムはキュっと詰まっていて、内部の水分も多いです。サイズも小さいです。ちょっと可哀想な焼き上がりです。オーブンを二段焼きにしなければ、もっと一つ一つがのびのびとした、大きく窯伸びしたパンとして焼き上がったはずです。
パン生地のポテンシャルを引き出して上げることができませんでした。それも最後のオーブンで失敗しています。
すごくもったいない例です。

パン作りは時間がかかります。丁寧に生地を作り、管理しながら育てていきます。最後の最後で失敗したら、すごくもったいない。残念な結果になります。
最後の焼成でミスしないように、気持ちを引き締めて焼き上げてくださいね。オーブンにお任せではないのです。オーブンを上手に使いこなすのです。