パンが膨らむ仕組み

パンと言えば、ボリュームがあって、ふんわり膨らんだ姿のパンを想像する方が多いです。このふっくらこそがパンの特徴です。

パンが膨らむのはなぜでしょう?

それは酵母の生命活動を利用しているからです!

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酵母の生命活動を使ったパン作り

パンは酵母の生命活動を利用しています。酵母とは酵母菌のことで、生きた微生物です。酵母菌が自ら生きるために行う生命活動で生成された副産物をパン作りで利用しています。

酵母とはイーストのことです。

酵母(イースト)とは

酵母とはイーストのことで、パン作りでは市販の酵母を使うか、自ら酵母を培養するか(自家製酵母)のどちらかになります。一般的に馴染みが深いのは「インスタント・ドライ・イースト」です。いくつか商品をご紹介します。スーパーでも売られている品なので、見たことがある方も多いと思います。

【ルサッフル社】

【日清製粉ウェルナ】

【共立食品株式会社】

この他にも生イーストやドライ・イースト、セミドライ・イーストなどたくさんの種類の酵母が販売されています。スーパーではそこまでの品揃えはありませんが、製菓・製パン材料店に行くとたくさんの商品を見ることが出来ます。

酵母の働き

パン作りには酵母の生命活動を使いますが、どのようにしてパン作りに利用しているのでしょうか?

酵母のアルコール発酵を利用!

酵母は生きていますので、活動を常に行なっています。人間が生きるために呼吸を行い、食べ物から栄養を取り、エネルギーにするのと同じです。酵母が生きるためには酸素や栄養素が必要です。そして、酵母は酸素がある環境でも、ない環境でも代謝を切り替えて生きることが出来ます。

  • 酸素がある環境では増殖を行う(呼吸)
  • 酸素がない環境では発酵を行う(アルコール発酵)

酵母は環境に応じて生きるためのエネルギーを獲得しています。

アルコール発酵で生成されるものがある!

酵母のアルコール発酵では、生成される物質があります。

  • 二酸化炭素
  • アルコール
  • 有機酸

パンが膨らむのは、アルコール発酵で生成された二酸化炭素のおかげなのです。風船が膨らむのと同じです。ガスが発生するからパン生地が膨らむのです。

このガスを受け止める物がパン生地です。

ガスを受け止めるパン生地

酵母のアルコール発酵だけでは、ガスは漏れてしまいます。パンが膨らむには、ガスを包み込むものがあるからです。それがパン生地になります。パン生地はゴム風船と例えることができます。

パン生地にはグルテンがある

小麦粉と水を合わせて、手で揉み合わせると、粉だったものが徐々に弾力のある生地へと変化します。これがパン生地です。※実際のパン生地には、酵母や塩、卵や砂糖などのその他の材料が入っています。

この弾力のある生地は、小麦粉に含まれるタンパク質が水と反応し、力を加えることでグルテンという物質に変化したのです。

パン作りではこのグルテンが大切です。グルテンはパンの骨格と言われています。

酵母が発酵により生成したガスをパン生地が包み込むことで、膨らんだ状態になります。膨らんでも萎まないのは、グルテンがあるからです。

酵母とグルテン、どちらもパン作りでは重要な要素です。

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