【動画あり】「パン生地は優しく扱う」間違えた解釈していませんか?

「パン生地は優しく扱う」とは、どんなことでしょうか?触らないこと?赤ちゃんを抱くようにそっと扱うこと?

どれも違います。

皆さんは、パン職人がパンを作っている動画を見たことありますか?InstagramやYouTubeにたくさん動画が上がっています。一度検索して、視聴してください。音を聞くとびっくりするかもしれません。

パン生地の扱いをよく見ていくと、パン生地をバンバン叩いたり、パン生地を放り投げたりしている場面があります。中には成形したバゲットを放り投げているものもあります。

あれのどこが「優しく扱う」なのでしょう?思った以上に乱暴ではないですか?自分が思っていた「優しく扱う」とは、かなりかけ離れているのではないでしょうか。

パン職人が間違っているわけではありません。これは、皆さんの解釈が間違っているのです。

優しくとは、何を指しているのでしょう?

全てはパン生地です。パン生地の状態に合わせて、扱うの強弱を付けるのです。高加水のデリケートな生地は、バンバン叩いたりしません。放り投げたりもしません。それができるのは、その扱いをしても問題のない生地だからです。多少乱暴に扱っても傷まない生地なのです。

初心者の方にありがちな、優しくソロソロ~と触ることで、逆に生地をじわじわと痛めつけていること。そこに気が付かない方がとても多いです。「優しく触ること=生地を痛めないこと」ではありません。生地の状態によって変わってくるのです。パン生地を見て判断しないと、本質を見ていないことになります。

だから、私は優しく触りましょうとは、あまり言いたくありません。パン作りでは生地を触ることは必須です。触らずしてパンを作ることは出来ません。必要な力は掛けます。ガスもしっかり抜きます。それが必要だからです。逆に必要でない場合ではやりません。

優しく触りましょうと言うと、皆さんが誤解したり、間違えて受けとったりします。

何より、パン生地はしっかり触らなければ成形することができません。触るときは触る。休ませるときは休ませる。加工硬化と構造緩和を繰り返してパン作りは進みます。

「優しく扱う」がどんな意味を持っているのか、一度考えてみてください。そして、自分の扱い方はそのパン生地に合っているのか?考えてみてください。

これだけで、パン作りが大きく変わります。焼き上るパンの姿も変わってきますよ。