小麦とは
小麦は植物学的にはイネ科(Gramineae)コムギ属(Triticum)に属する一年草の種子
小麦は世界で最も広く栽培されている、稲、トウモロコシと並ぶ、世界の3大穀物
小麦は平地だけでなく、高地でも暑い所でも、寒い所でも栽培できる、順応性のある穀物です。現在では世界中の地域で栽培されており、常に収穫が行われています。
麦文化の始まり
1万〜8,500年前の時代には、すでに食べられていた小麦です。
野原に自然に生えている野生小麦と栽培した麦の両方は、小麦・大麦の区別なく、豆や雑穀と混ざったままで粗く砕いて焼いて食べていました。
小麦の栽培が始まったメソポタミア文明の時代には、小麦を種子ごと粥状にして食べていたと言われています。エジプト文明の壁画には、サドルカーンと呼ばれる石でできた粉砕器で穀物を粉砕している様子が描かれていることから、この時代になると、粒から小麦を粉砕して、皮部と胚乳部を分離して食べる習慣が成立していたと推定されています。
大麦から小麦の時代
エジプト、インド、中国などで、ある時期から大麦ではなく小麦を主として食べるようになりました。道具が進化し、人々が美味しさや食べやすさを求めた結果、大麦と小麦の位置が逆転したのです。
挽いた小麦の粉を使うようになり、古代エジプトでのパンづくりは大きく進歩しました。ある時、小麦の粉に水を加えて捏ねた生地をしばらく放っておいたところ、気温が高かったために大きく膨らみ、表面から泡が吹き出して腐ったようになりました。ところが、これをオーブンで焼くと、それまでよりも香ばしく、軟らかくて美味しいパンになったのです。これが「発酵パン」の始まりです。
発酵パンは現代まで脈々と続いています。小麦は人類の文明とともに発展して今日に至ります。
パンにはロマンがある
パン作りにロマンを感じるのは、小麦が私達とともにあり、それぞれの時代を過ごしてきた歴史ある食料だから。命の糧として食の中心に必ず存在していたもの、欠かすことが出来ない食材だったこと。その長い歴史に新しい風を取り入れながら今日まで続いてることに、これから先も未来永劫、変わらずにいてくれる。私達とともにある。そんなふうに感じるのです。

