パンが思うように膨らまない原因は、いろいろなことが考えられます。そこで、今回は、大きく「材料」「配合」「オーブン」の3つに絞って論理的に考えてみます。

1. 材料(素材のポテンシャルと鮮度)
材料そのものが持つ「ガスを作る力」と「ガスを保持する力」に問題があるケースです。

【酵母(イースト)の活性不足】
古いイーストの使用や、開封後の保存状態(酸化・吸湿)により発酵力が低下している。
予備発酵が必要なタイプをそのまま混ぜている。
【小麦粉のタンパク質含有量】
タンパク質(グルテン)が少ない粉を使用すると、発酵で発生したガスを保持できず、風船が割れるように萎んでしまう。また、小麦粉が高温多湿の場所で管理されたため、劣化している。
【水質と温度】
極端な硬水や塩素の強すぎる水は発酵を阻害することがある。アルカリ水を使っている。また、仕込み水が冷たすぎると発酵の立ち上がりが遅れる。
パン作りに使う材料そのものに品質的な問題があると、パンは膨らみません。材料の保管方法や鮮度、品質を見直しましょう。
2. 配合(レシピのバランス)
各材料の比率がグルテン形成や発酵速度にどう影響しているかという視点です。

【糖分と塩分が多すぎる配合】
糖分: 高糖(菓子パンなど)の場合、浸透圧によりイーストの活動が抑制されるため、耐糖性イーストが必要。
塩分: 塩はグルテンを引き締めるが、多すぎるとイーストの活動を強く阻害する。
【副材料(油脂・乳製品・具材)の配合タイミングと量】
バターなどの油脂が多すぎたり、入れるタイミングが早すぎたりすると、グルテン形成を邪魔し、骨格の弱いパンになる。
【ベーカーズパーセントの不整合】
水分量が粉に対して極端に少なすぎると生地が硬すぎて伸びず、多すぎると腰折れの原因になる。
レシピ記載の材料や配合のバランスが悪いと、良いパン生地にはなりません。砂糖が多いのに、耐糖性のない酵母を使用するレシピや、油脂を入れるタイミングが違うなど、配合が合っていない、作り方が悪いレシピがあります。配合・レシピそのものを見直しましょう。
3. オーブン(熱伝導と物理的変化)
最終的な「オーブンスプリング(窯伸び)」を左右する環境要因です。

【予熱不足と庫内温度の低下】
投入時に温度が低いと、酵母が急激に活性化する前に生地表面が乾燥して固まってしまい、膨らみを止めてしまう。
【下火(底面からの熱)の弱さ】
パンを上に押し上げるには底面からの強い熱が必要。天板が冷たいままだったり、熱伝導の悪い型を使用していると伸びが悪い。
【乾燥と蒸気(スチーム)の欠如】
ハード系パンなどの場合、適切なスチームがないと表面がすぐに焼き固まり、内部の膨張を物理的に阻害する(クープが開かない原因)。
パン生地を焼くオーブンそのものがパワー不足だったり、パワーが強すぎる場合、パン生地とミスマッチが起こります。良いタイミングで窯伸びが起こらないとパンは膨らまみません。オーブンの庫内温度を測定して、正しい温度が出力されているか確認しましょう。スチームは管が詰まってでていないこともあります。
おわり
パンが膨らまない原因は、どこに何が隠されているのか?見つけ出すことがとても大変です。パン作りは一連の作業で成り立っていますので、ひとつの原因だけでなく、複数の原因が絡み合っていることもあります。
今回は、「材料」「配合」「オーブン」の3つに絞ることで、原因を見つけやすくしています。色々な角度から、探ってみる!視点を変えることで見えてくることがあります。
パンが膨らまないと悩んでいる方は、参考にして下さいね。
