男前なクラック塩パン

窯出し直後のパンは、表面が張っています。これは塩パンだけに限ったことではありません。全てのパンに共通です。

なぜかと言うと、窯出し直後の熱々のパンは内部の圧力が高く、膨張している状態だからです。

クラックとは

この窯出し直後の熱々のパンには、焼成で消失しなかった水分が内部に含まれているので膨張しています。粗熱を取ることで、内部の水分が徐々に抜けていきます。温度が下がることで膨張も収まるのです。この、冷ますための時間にクラストに亀裂が入ることがあります。これがクラックです。

焼き立て直後のパンは美味しくない

窯出し直後の熱々のパンを食べても、熱いだけで、小麦の香りも、パンの味も感じることができないと思います。焼き立ての熱々を食べることがパンの一番の美味しさと思っている方は、間違えています。パンの本当の美味しさでは粗熱が取れた頃です。

よく焼きたてのパンを手で割って、美味しい美味しいと食べている映像がありますが、あれはパフォーマンスです。鵜呑みにすると、食べごろではないパンを味わうことになります。

ただし、ドーナツと呼ばれるカレーパンなどの揚げもの系のパンは、揚げ立てが一番美味しいです。

アツアツのパンは切れない

ベーカリー時代多かったお客様の要求があります。

焼き立ての食パンを8枚切りにして

焼き立てのパンは切ることができません。袋詰もできません。しっかり冷めてからでないと、扱うことができないのです。

男前の塩パンが完成

この塩パンは、しばらくすると水分が抜けはじめ、同時にピキピキと表面が割れ出しました。これがクラックです。

クラックが走るパンは、焼成がとても良く出来た証とも言われています。

わざとクラックを出すために配合を変えて焼く人もいます。家庭製パンでは、クラックをデザインとして狙って入れるパンが一部で流行していると感じます。ベーカリーではクラックは狙うものではないので、クラックのために配合を変えるなどはしません。ここに大きな違いを感じます。