梅シロップを作っていると、発酵してしまうことがあります。場合によってはカビてしまうこともあります。
なぜ発酵するのか?
収穫した梅には自然界に存在する様々な菌が付着しています。酵母菌や乳酸菌などの微生物です。それらが、梅シロップに含まれる糖をエサに発酵が起こります。
発酵したシロップはこのような状態
- ブクブクと泡がでている
- 振るとシュワシュワ炭酸ガスが上がってくる
写真の状態は、かなり発酵が進んでいます。しかし、いきなりこの状態になるわけではありません。発酵には前兆があります。
【発酵がはじまる前兆2つ】
- エキスが少し濁りはじめた
- 表面に少しだけぷくぷくとした泡が確認できる
発酵させない適正な管理
梅シロップを発酵させないために、次のことを気をつけましょう。
梅の選別
傷のないきれいな梅を用意します。そして、完熟した梅ではなく、若い青梅を選びます。傷がある、完熟している梅は、菌の付着も多くなり、また表皮が破れやすいので、瓶の中で破れやすくなり、エキスが濁る原因になります。
器具の消毒
漬け込む保存瓶はしっかり消毒したものを使うことで、雑菌の繁殖を防ぎます。アルコール消毒や熱湯消毒をしっかりおこないます。
水分を切る
水分を残さないこと。しっかり瓶を乾かします。洗った梅も水分を拭き取ります。自然乾燥させると良いです。特にヘタをとったくぼみに水分が溜まっていることが多いですよ。
冷暗所で保管
直射日光が当たるような場所や、キッチンでも明るい場所に梅シロップを置いておくと、温度も高く、光も差し込むので、青梅がどんどん黄色く熟していきます。熟成が進むことで微生物の繁殖が活発になります。
薄暗い場所、温度が低い場所が置き場所に適しています。
砂糖の力を使う
梅シロップを漬け込む時、砂糖を入れますが、砂糖が溶けるスピードが遅いほど、梅が先に熟してしまいます。早い段階で砂糖が溶け出して、糖濃度が高いときにしっかりと梅にまとわせることで、浸透圧が進みエキスが出始めます。そして糖濃度が高いことで微生物の活動を抑えます。
一日一回しっかり混ぜる
梅シロップは砂糖の浸透圧を利用して、梅のエキスを抽出します。一日一回混ぜるのは、梅に砂糖を付着させるためです。青梅と氷砂糖を交互に入れるのも、砂糖の浸透圧を早く働かせるためです。サボらずにしっかり混ぜましょう。
シロップが発酵したら発酵を止める作業をする
発酵してしまったシロップは、そのままの状態ではどんどん発酵が進み、シードルのようなシュワシュワした液体が出来上がります。腐っているわけではないので、飲むことはできますが、本来の梅シロップの味とは違っています。
発酵が始まったら早い段階で発酵を止める作業をします。
加熱して発酵を止める
梅エキスを鍋に出して弱火に掛けて加熱します。グラグラ沸騰させると梅の風味が飛んでしまいますので、60~70℃を保って数分加熱すれば、酵母は死にますので発酵は止まります。
梅の実も加熱したシロップにさっと潜らせます。表面に付着した酵母が加熱によって死滅します。
シロップと梅の実を再び瓶に戻し、漬け込みを続行します。エキスがでたら梅の実を取り出します。氷砂糖が溶け切って、梅の実がシワシワになる頃が見極めです。シロップもたくさんできていると思います。
発酵を止める作業を動画にしました。参考ください。