驚くほど美味しかったクッペが過去にあって、それを再現すべくテストしています。もう何テイクしたかわかりません。今回のテストはどうかな?
幻のクッペアゲイン!
私史上最高においしい味のチョコとレーズンの入ったクッペを焼き上げたのは、今年の4月。ストレート法4時間ほどで完成する、熟成が短い製法にも関わらず、そのクラムや味は5日間ほど熟成されたものに匹敵するもので、度肝を抜かれたクッペを作り出しました。
その芳醇な美味しさや口溶けに感動したのはもちろんですが、私の頭が混乱したのを覚えています。何をどうしたらこうなるのか?その答えがとっさに思い浮かびませんでした。
そもそも、私が知る理論として成り立たないのに、眼の前には現実として存在しているのです。私が今まで学んできたことが覆された日でもあります。つまりは、私の知識がまだまだ浅いということの証明です。
その時のクッペがこちらです。2025年4月に作りました。写真は焼き上がりのものしか残っていません。珍しく夜に焼き上がり、撮影がうまくできないまま翌日に撮影しようと思っていました。しかし、あまりの美味しさにあっという間に完食してしまい、翌朝には残っていなかったのです。そのため、カットした写真やクラムがわかる写真がないのです。本当にびっくりするほど美味しかったのです。これは家族全員一致の意見です。今までとは次元が違う美味しさでした。
頼りになるのは私の記憶のみ。あのときの味や香り、食感を、脳が覚えています。
▼幻のクッペ(これしか写真がないのです)

なぜあの味・香り・食感が短時間で生まれたのか?
その後、持てる知識を総動員してある仮説を立てました。考えられることは一つしかありません。その仮説に基づいて、現在、再現のテストをしています。再現性はまだまだ低いですが、これが再現できれば理論として成り立ちます。学んできたことの本質がやっと理解できたことになります。(今はまだ不確定なことなので言うことができません)
今回は80点です。かなり味は近付いてきました。でも、クラムと食感は全然違います。つまりグルテンは全く違うものなのです。あちらを立てればこちらが立たず。こんなことを何テイクも行っています。
結果は思ったものにはなっていませんが、別の意味で勉強になっています。私の中で、今まで考えもつかなかった味のコントロールに新しい分野が開拓されたのです。こんなところに秘密があるのか!と気がつくことばかりです。今まで気が付きもしなかったことに着目できるようになりました。これは大きな収穫・進歩です。
さて、今回は、24時間以上かかけて作ったのに、近づいたのは味だけで、結果としては全く似ても似つかないものでした。また振り出しに戻ります。
本当に難しいです。パンの出会いは一期一会。まだまだ実験は続く、、。