100人いれば100通りのパンが完成する

皆さん同じレシピを見て、同じように作っても、完成したパンはそれぞれが微妙に違っているって知っていますか?

例えば、コンテストで同じルセットでパンを一斉に作っても、まったく同じにはなりません。見た目が似ていても、それぞれ微妙に違ったパンになります。見た目だってよく見れば微妙に違います。それは人間が作っているからです。その人の感性、感覚や判断するポイントが、それぞれ違うからです。そこには知識の差、技術の差も当然含まれています。だからコンテストになるのです。瓜二つのものが出来ていたら甲乙付ける必要もありません。

プロの世界でもそうなのに、家庭製パンの世界ではもっと違う。大きな開きがでてしまうのも無理はありません。そもそも、知識もなければ、腕も無い、そこから始まるパン作りです。

最初から完璧を求めてはダメなのです。簡単!と言われるレシピだって、実はすごく難しいのです。

完成した姿のパンばかり追いかけるのはやめましょう

どうしてもイメージが先にくる、形から入るパン作りでは、皆さん理想とするパンの姿にならないことに、がっかりしたり、ショックを受けたり、腹を立てたりします。

理想と同じにすることを最初から求めるのではなく、その前にパンを作ることを楽しみましょう。失敗しても、形が悪くてもいいではないですか。まずは、はじめてパンを作るという、その過程を楽しんでほしいと思います。上手く出来なくても、自分が努力の末に焼きあげたパンです。

苦くても、固くても、膨らまなくても、自分がゼロから作り上げたパンはとても価値のあるパンです。そこから始めるパン作りが、家庭製パンの本当の入口なのです。

そこそこ上手に焼けるようになるのは、もう少し先の話になります。ほんとんどの方が、上手く焼けないところからスタートされています。そして試行錯誤しながら、形あるものにしていきます。

パンの前に生地がある

きれいに焼き上がったパンがオーブンからでてくると、飛び上がるほど嬉しいですが、パンになる前に生地があることを忘れてはいけません。パンとしてオーブンからでてくる姿は最終形態なのです。その姿になるまでには、粉からパンになるまでの過程が大切なのです。その過程をどう通過してきたのかで、結果が違ってきます。

パンはオーブンで焼き上げるまで、ドゥと呼ばれます。パン生地=ドゥです。オーブンで焼かれてはじめてパンとなるのです。オーブンで焼かれる前の状態をパンとはいいません。これは製パンの常識です。

ドゥの状態が大切なのです。

みんな違ってみんないい

同じパンにならないところが面白くて、パンとして個性が発揮できるところです。違ってしまうことにがっかりしないで、逆に毎回違うことを楽しむくらいの気持ちでパン作りをしてもらいたいです。

そしてパン作りに興味を持ったら、知識が必要になってきます。ぜひ知識を集めてください。今はネットで何でも調べられる時代です。不思議に思ったことや興味を持った単語を検索するだけで、かなりのことがヒットします。

パン作りの情報がたくさんありますので、そこから情報を増やしていくことで、パン作りが理解できるようになってきます。

パン作りも色々なスタイルのパン作りがあります。時短パンと呼ばれるものから、何日もかけて作る本格的なものまで、選べるだけの作り方が存在します。自分にあったものを探してみるのも楽しいですよ。

ご飯を炊くようにパンを焼く。肩の力を抜いて、構えずに作る。そんな家庭製パンが広がっていったら良いなと思います。