【コラム】パン作りは「物理・化学・生物」の「おいしい科学実験」です

パン作りは、実は「おいしい科学実験」なのです。そう思うとなんだか楽しくないですか?

「捏ねて・発酵して・焼いて」パンは完成します。

捏ねる・発酵する・焼く、この3つのステップは、「物理・化学・生物の実験」をしていることと同じなのです。

どんな実験か見ていきましょう。

パン作りは「物理・化学・生物」の実験!

1. 生地作り(物理と化学)

「ゴムの風船を作る実験」

小麦粉と水を混ぜてこねると、粘土のようだった生地が、ゴムのように伸び縮みするようになります。これがパン生地です。小麦粉の中のタンパク質が手をつないで、「グルテン」という丈夫な網(あみ)を作っています。この網が、あとでガスを受け止める風船になります。

2. 発酵(生物)

「生き物がガスを出してふくらませる実験」

生地を置いておくと、勝手に大きくふくらみます。イースト菌という微生物が、生地の中の糖分を栄養源にして「炭酸ガス」を作りだしています。このガスがグルテンの網目の中にたまって、パンがふくらむのです。

3. 焼成と保存(化学と物理)

「熱で固めて、おいしい色をつける実験」

オーブンに入れるとさらに生地はふくらんで、茶色くなり、いい香りがします。

熱の力で、ふくらんだパン生地の形をカチッと固定します(デンプンの糊化)。 150℃以上の熱で、パンの表面が焦げて焼き色や香りがつきます。

パンは冷蔵庫に入れると、ご飯と同じでカチカチに硬くなってしまいます(老化)。「冷凍庫」に入れて保存するのが正解です。

おわり

パン作りは生物・化学・物理で成り立っています。これらを細かく紐解くと「製パンの理論」になりますが、そこまで難しく考えなくても、パン作りが実験だと捉えると、温度が重要なことも理解できると思います。化学の実験には温度は重要な要素のひとつです。

そして、生物や自然(農作物・季節)を相手に作るものなので、不安定で定まらない難しさが存在することも理解できると思います。パン作りの難しさって、実はそこに隠されているのです。

「技術が未熟だから」「パン作り歴が浅いから」なども理由にはなりますが、パンが上手に作れない一番の理由として、『パン作りは生物や自然を相手に実験をしていることを理解しているか・していないか』が大きな分かれ道です。

実験をしていることを前提にパン作りを進めていくと、面白いように上達しますよ。パン作りを科学の視点で捉える解説は、今後も数回にわけて記事にします。もっとたくさんの分野が関係していますよ。お楽しみに。