【動画あり】パンは科学だとつくづく思う

パンは科学の目で見るとすごくわかりやすくて、状況を掴みやすいです。つまり、ナゾが解ける。逆に、科学の目で捉えないと、感覚や経験値だけが頼りになるので判断がとても難しくなります。すごくわかりにくい世界です。

パンが料理とは大きく違う点は、素材がそのままの形で残らないことです。形を変えて別のものに作り変えられます。

この意味がまったくわからない人は、私が何を言っているのか理解できません。「料理だって完成したものは形を変えているでしょう?」といいます。違うのです。そこではないのです。

人参は煮ても焼いても揚げても人参です。じゃがいもはもじゃがいもとして残ります。煮崩れる、潰してコロッケになるなど、形は変えますが、素材そのものはそのまま残ります。

パンは、小麦粉のタンパク質が変化して別の物質に形を変えます。分子レベルで作り変えられるのです。配列が変わり、別のタンパクに変わるのです。素材が、化学反応を起こし、他の物質と混ざり合い、混合物から化合物へと変化するのです。素材が元の素材のままではないのです。

この意味の違い、伝わりますか?

そこが料理とは大きく違うのです。もちろん調理にも科学があります。製菓にもあります。科学の目で捉えると、起こっていることが理解できるので、逆にすごくわかりやすくなります。

そして難しいと感じていた部分が変わってきます。見極めが~、発酵が~、タイミングが~、とわからなくて悩んでいたところが、実は全然難しくないこと。本当に難しいのはそこではないことに気が付きます。むしろ、そこは科学で解明されて簡単なところへと変わります。

本当に難しいところ、、、それは、その道40年50年のパン職人が未だになぜ学び続けているのか?そこに答えがあるような気がします。すべてを知り尽くしたであろう大ベテランでも難しいと言わせるパン作りの世界です。奥が深いなと思います。

パン作りが簡単なんて、私はとても言えません。知れば知るほど、理解できることが増えてくるほど、どんどん難しく感じます。それって核心に向かっているからなのだろうなと思っています。

皆さんはどう思いますか?